分業を成功させるためのポイント【メリットとデメリット】

仕事のつぶやき

分業を成功させるためのポイント

しばらく宇宙の法則に関する記事が続いたので、久々に仕事のつぶやきをしたいと思います。本日は分業について、成功させるためのポイントを書きます。
成功させるためには、以下の三点をそれぞれ理解する必要があります。

  • なぜ分業するのか?
  • 分業のメリットは何か?
  • 分業のデメリットはなにか?

目的を明確にすること、またメリットだけでなく、デメリットも含めて理解した上で、最適な運用を目指すことが、成功への近道になります。それぞれについて述べていきたいと思います。

なぜ分業をするのか?

昨今は、業務が複雑化、多様化してきて扱う情報量が増えてきているので、一人の人間が全てを対応しきるにはキャパシティオーバで、ある程度領域を限定しないと、力を発揮できず、一気通貫で仕事を実施する良さよりも、力が分散してしまう悪さの方が強くなってしまいます。

そのため、集中と選択の一環として、会社のリソースはより本業に専念させ、付帯業務はシステムや集約した組織に分離し集中的に動かすことで効率的に回す、という発想になります。最近、小売業でレジに行くと、支払いは隣接の機械(キャッシャー)を使うよう言われることが多くなりました。これはレジを打つ人間が金銭を扱わないというセキュリティ面やミス防止の観点もありますが、自動化できない要素があるレジ打ちは人間が行い、金銭収納はシステムが行うという分業の身近な例の一つになります。

分業のメリット

そんな身近でも多くみられる分業ですが、企業が分業化をするメリットはどんなことがあるのでしょうか?4つほど上げたいと思います。

  • ある一定の範囲に業務を限定できる
  • 覚える知識が少なくて済むので深い理解を早期に作れる
  • 扱う数が増えるので、経験値が短期で上がる
  • 慣れが出てスピード・質が上がり、作業効率化の工夫も出やすい

分業のメリットの最も大きなところは、習熟性です。同じ作業を同じ人が多くこなすことで、経験値が上がります。また、知識として覚える範囲も限定されるので、早期の人材育成や仕様変更があった場合の周知や運用の変更の定着も比較的容易です。また、習熟度が上がれば当然正確性や処理数も増えるので、その点も魅力的です。

分業のデメリット

では、デメリットは何でしょうか?3つほど上げます。

  • 協力感覚が薄れる
  • 依頼側と受け側で利害が割れる
  • 情報が見えにくくなる

こちらは端的にいうと縦割りになることです。今まで一気通貫に行っていた仕事にミシン目が出来ることで、情報、協力、利害こうしたものが生まれます。組織や分担が出来るとセクショナリズムが発生します。またどうしても他人の芝は青く見えるため、意識して行動をしないと、ちょっとしたことで運用面だけでなく、心理面での溝も出来てしまいます。

分業をする上で見落としがちなこと

また、分業する上で見落としがちなことは何でしょうか?こちらはデメリットにもなりますが、しっかり意識して導入、運用出来ていれば問題がありません。しかし私の経験上、これらのことが分業する時に、しばしば見落とされているように感じるため、ここではあえて記載をしたいと思います。

  • 1=0.5+0.5ではない
  • 一見処理が回っていても不満が鬱積する可能性がある
  • 全体最適が図れない

一番目は、一つの仕事を分業したときに、単純に「割る2」ではないということです。
これは、普通に考えればわかることですが仕事と仕事の「つなぎ目」が必要になるということです。今までは一つの仕事でしたが、例えば二つに分割すると「前工程」「後工程」の二つに仕事が分かれます。この場合、前工程から後工程に仕事を流す時に、必要な情報を渡さなければなりません。これが「つなぎ目」になります。
どういう形で情報を渡すのか?受け取りの確認はどうするのか?渡す情報は何なのか?後工程が完了した場合に前工程にその旨情報を共有するのか?

例えば、こうしたことを決めておかなければなりません。マスユーザを相手にしている小売業や飲食はこうした事をしっかり設計しておかないと現場で回らず、すぐに「炎上」してしまうので、着実に進めますが、法人を相手にする場合、少しこの点は厳格に設計していない場合もあります。

二番目は処理は一見回っていても、実は現場の運用に携わる方が無理をして頑張っているケースです。現場の社員の方ではなく、利用者が不満を募らせているケースもあります。例えば、営業の人とのやり取りで、必要な情報を聞かれ答えて、次に部署が変わって保守やサポートの人にもう一度同じことを伝える、そんなケースです。この場合も処理は一見回っていますが、利用者は全く同じ内容を二度説明するオペレーションに不満を募らせます。

三番目は、言わずもがなですが、セクショナリズムが起きるということです。なぜか役割を持つと、役割以外のことは他人の仕事という心理が強くなります。役割の履行に対するマネジメントを強くすればするほど、それは顕著になっていきます。

分業を成功させるために

これらのことを踏まえて、分業を成功させるためのポイントを書きたいと思います。以下の4点です。

  • ミニマムから始める(PDCAを重ねる)
  • つなぎ目が命
  • コミュニケーションの場を作る
  • 現場の実感が得られるまでリーダが牽引する

まずは、スモールスタートです。何かを変えると課題が必ず出てきます。最初から大きく変えてしまうと、元に戻せず、運用者には負担を、利用者には不便をかけてしまいます。一店舗や一部署などスモールスタートで問題点を炙り出した上で拡大するようにすることが必要です。

次につなぎ目です。こちらは分業の設計で最も重要になる部分です。つなぎ目がしっかりしていれば、仕事の構造的にはやる人が途中で変わるだけで、一つの仕事という形に見えます。最初の慣れには多少の時間は必要ですが、それを過ぎると習熟度がアップし、組織としての処理力が向上します。ここの運用条件、ルールをしっかり関係者で合わせておくことが非常に大切です。

三番目はコミュニケーションです。こちらは、上記二つで課題がないか?また運用が一見回っているようにみえるが、潜在的にもしくは隠している不満はないか?という確認にもつながりますし、関係している人にとってみれば、何かあったときに吐き出せる場所がある、という安心感にもつながります。

最後にリーダシップです。何事もそうですが、変革をもたらす場合は、リーダが必要です。
ここを現場主導にしてしまうと、利害が割れたり、異なる意見がまとまらなかったりと、取り組みが頓挫する可能性が飛躍的に高まります。リーダ自体は、各タスクの仕事を滞らないように着実に進捗を見ていくこと、また顕在、潜在問わず課題を炙り出し解決の支援をしていくこと、、様々な関わる人に仕事を指示していけばよいですが、出てきた課題に対して全体感を持って解決策の判断をしていくこと、などを行います。

このブログでは分業の課題感を記載することが多くありましたが、適切なアプローチと熱い志を持って取り組めば、分業の良さは出てくるので、上記の情報を参考に取り組んでもらえれば幸いです。

【明日のために】トライアルは理想の形の一里塚

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