コミュニケーションの問題(最近のコミュニケーションの課題とは?)

仕事のつぶやき

あるIT企業のコミュニケーションの問題

送信先に情報の要否を判断させてはいけない

私は、多くのメールを日々受け取っています。社外からではなく、社内からです。
以前は部の総括系の仕事をしていたため、関係する部署から、私の所属する部に対する依頼や相談、部内への周知をお願いするといったものなど様々な種類がありました。

そのとき、私は法人営業部に所属していましたが、例えば、総務部が各部の部長が対象者となる研修案内を出すケースで言えば、総務部は法人営業部だけではなく、他の部署にもメールを送ることになるので、稼働を効率化するため、メーリングリストを活用して送ってきます。

メーリングリストが分からない人がいるかもしれないので、補足しておきますと、一つのメールアドレスで予め登録していた複数の宛先に一斉に送ることができる、というものです。

メーリングリストで宛先をグループ化しておくことで、特定のグループに情報共有を行うときに、毎回一人一人のアドレスを選ぶ必要がなく、効率的に多数の宛先に送ることができます。

例えば、管理職に対して共通で依頼をすることがあった場合、送信先ごとにメールを準備するのは明らかに非効率なので、そういう場合はメーリングリストを活用すべきでしょう。しかし、その後、例えば期日が迫ってきた時に未報告の管理職がいた場合、本来であれば未報告の組織に対してのみ督促をすれば良いのですが、往々にして、同じメーリングリストを活用して督促を行いがちです。

要するに、送信元として面倒なのです。

未報告組織だけを狙い撃ちしようとすると、宛先設定を未報告組織に限定する必要があるからです。また、未報告を組織を事前にチェックしておく必要もあります。

結果どうなるかというと、早期に報告した人も巻き込んで、全部署にメールを送り、メール文の中に「既に報告をした組織の方は読み飛ばしてください。」と記載し、受け手側に確認・判断を丸投げすることになります。

表現こそ丁寧ですが、要するに「未報告の宛先だけに送るのは面倒なので、報告したかどうかは皆さんが分かっているでしょうから、自分で判断してくださいね」という主旨です。

先ほどの例でいうと、受け手側としては、自組織宛てのメールであるので「①内容を一読」「②部長研修の未報告に対する督促であることを確認」「③対応の要否を判断する」ということになります。既に報告済みの組織にとってみれば、早くアクションしたにも関わらず、見る必要のないメールを受け取り、中身をチェックさせられる、という状況になります。

この例は、確認作業が簡単ですので「まだマシ」ですが、問題がもう一つあります。それは何かというと

慣例なのか、遠慮なのか、直接対象者(部長)に確認していない、ということです。

社長や専務など一部の役員であれば、秘書をつけているので、直接ではなく秘書宛てに確認依頼をかけるのは問題ありません。業務の機能として秘書をつけていて、幹部のスケジュールを調整・管理が秘書の仕事の一部だからです。

しかし、各部長の総括に部長の秘書機能はありません。部長のスタッフ機能として、部長の指示を部内展開したり、部の戦略や改善策を検討する時の中心的な役割を担うことはありますが、部長の研修報告やスケジュール管理などということはしていません。

以前は、人も大量にいたので、部長のスケジュール管理という機能も、総括が本業以外の仕事として十分に回せていましたが、各組織に分散していた共通業務の集約、システム化、それに伴う人員シフト(総括機能から人を別の場所に異動)により、本当にすべきことのみを行う人数にスリム化しています。

最近、大企業を中心として組織の統廃合が進み、直接収益を生まない組織はスリム化もしくはアウトソースするなどしています。ですので、総務や総括といった全体をフォローする機能は削減・集約傾向にあります。

スリム化した組織に、そうした無駄な仕事をしている稼働はないのです。

この例でいえば、読み手側が情報を咀嚼しなければならない、という無駄な稼働だけでなく、読み手が更に別の人に確認して回答を返す、という付加価値のない作業をしなければならず、本当に無駄のオンパレードです。

更に、宛先が多ければ多いほど、同じようなことをしている人が、倍増されて組織全体の間接稼働が累積します。

この件は、送信元に強く要請して是正させましたが、モグラたたきのように、こういう事が次々起こるのです。なぜならこの事例は、部長の研修報告という例でしたが、社員宛ての共有でも、同じようなことがあるからです。

情報伝達や依頼出す送信元としても、以前は受け手を配慮した送り方をしていたものの、人が減ってしまい、時間を掛けることが出来なくなったため仕方なくそうしていたり、会社全体としては、無駄な稼働を出さないように出来たとしても、送信元としては時間がかかるだけなので、よっぽど理解のあるリーダでないと、褒められることはまずないでしょう。

もちろん、何でもかんでも間に人を入れるべきではない、ということではありません。組織内での検討・判断・調整が入る場合は、総括的な人が一旦受けて調整弁を果たす必要があるでしょう。

コミュニケーションは送り手と受け手のバランス

送り手は自分が楽をしようと考えがちです。組織のリーダは、特に役職が上がれば上がるほど、この人間の性が引き起こす弊害を、本当に意識しないといけません。

まずは、自分が送り手として「自分が楽に仕事をするためにはどうしたらいいか?」と考えるときに、自分が楽をするために、実はその何倍もの多くの受け手に、しなくてもよい作業をさせてしまっている、ということがないかを考えてください。

他にも例を挙げればきりがないのですが、今日はここまでにしておきます。
皆さんも会社のコミュニケーションで「こんなことに困った」とか「こうしたら良くなった」ということがあれば、是非教えてください。

【明日のために】「早く伝えた」と「早く伝わる」は似て非なるもの、と認識しよう。

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